SUZUKI ハスラー TS125 7型

2023.7
北海道の道路は原付きには厳しい。50km制限の道を50kmで走っていれば確実に煽られる。通勤で結構怖い思いもした。頑張ってエンジンふかせばもう少し走るが、エンジンが悲鳴を上げている気がする。

もっと楽に車の流れに乗って巡航できればいいなと考え、125ccへの乗り換えを模索。

カブもいいが、個人的にはミッションは、ロータリー式よりリターン式がいい。

オークションサイトやフリマサイトで手頃ないいのがないかとずっと探していたが、なかなか見つからない。おっ、いいなと思っても値段が高かったり、落札できなかったり、陸送に随分費用がかかったりと見つけられなかった。

リトルカブの乗り換えだと、ジェンマ50やゼファー1100と被らないためにはオフロードが良さそうだ。林道を駆け回るわけではないので、バリバリのオフロードよりVMX(ヴィンテージ・モトクロス)に乗りたい。

できれば4スト空冷単気筒で探していたが、もともと125ccの玉数も少なく見つからない。

もう諦めて、カブを少し速くしようかとリアスプロケット35Tをネットで注文したあとに『スズキ ハスラー TS125 7型』を発見。外装はかなりボロく、電装に問題があったが、エンジンは大丈夫そうだ。2ストで音がうるさいのが最大のネックだが、馬力があって楽しそうだ。仮面ライダーにも登場しているあのハスラーだ。サイレンサーにグラスウールを巻けば多少消音になるというので購入。

SUZUKI HUSTLER TS125
1977年型 7型 車台番号 TS1252-10※※※※
タイヤ F: 2.75-21 4PR R: 3.25-18 4PR
スプロケット F:15T R:44T
チェーンサイズ 428 チェーンハンク 124L
バッテリー 6N4B-2A
スパークプラグ B7ES
リターン式 5速

SUZUKI DIGITAL LIBRARY より

エンジンの整備もされていて、ピストンは新品が組まれていたものを前オーナーが購入し、キャブレター清掃をしたらしく、エンジンはとても調子がいい。タイヤもかなり新しくホイールも結構きれいだ。フロントフォークからオイルは若干漏れているようなので、オーバーホールは必要。公道を走るための最大のネックは、音がかなりうるさいのとバッテリーを繋いでもウインカーとブレーキランプがつかないこと、そしてバックミラーがないこと。跨がってみるとハンドルが曲がっているし、ステップは鉄棒を溶接しただけの手作り。結構オフロードを攻めていたバイクのようだ。

公道復帰のためには、まずミラーとバッテリーの取り付け。そしてがんばって配線の見直し。サイレンサーにグラスウールを巻いてできるだけ消音。

シートの裏がかなりサビており、割れも出てきていることから錆止め塗装をしてメタルパテで補強。本当は溶接したいのだが、そんな設備もないので得意のメタルパテ。シートのロックの座金も外して塗装しようなどと余計なことを考え、ボルトを回すとボキッと折れた。しかも両サイドとも。

ドリルで穴を開け、エキストラクターで折れたボルトを取ろうとするが、全くビクッともせず。諦めて、穴を広げヘリサートをねじ込んで修復。これでM6のボルトが締まるはず。

シート裏と一緒に、バッテリーケースも錆止め塗料を塗っておく。

重曹を温湯で溶かした水を使って、雑巾でバイクを拭き上げる。ブラシでゴシゴシ洗いたかったが、水を流せる場所がないため仕方なく雑巾がけ。重曹の威力で多少はドロ油汚れも取れたが、パーツを外さないと細かいところは難しい。余計なことをすると傷口を広げるので、できるだけ最小限にし、公道復帰できてから少しづつきれいにしていこう。

純正のステップをオークションサイトで見つけ交換。少しは乗りやすくなった、

サイレンサーに入れるバッフルを購入。アイドリング時の音は少し静かになった気がするが、アクセルを開けるとやはりうるさいので、グラスウールを巻く。少しはマシだと思うが、アクセルを開けると2ストの甲高い音がするのは仕方ない。あとは少しでも排気漏れを無くすようにすることで、排気関係は終了。余裕が出れば、チャンバー内のカーボン除去を試みてみるかな。

最難関の電装関係
少々なめていた電装関係が最も難しい。エンジンをかけるとヘッドライトと尾灯は点灯。ただし、メインキーを回しても点灯はしない。Rにウインカーのスイッチを入れ、エンジンの回転を上げると右側前後は点きっぱなしになる。左前のウインカーが壊れているのは確かだが、果たしてこれを替えるだけでなんとかなるのか。しかも6Vの汎用品が見つからない。テスターを購入し、配線を調べようとするが、何をどう調べていけばいいのかさえなかなかわからない。

2023.9 ウインカー購入
左ウインカーは前後とも壊れているようなので、12Vのウインカーを新調。バイク屋さんで12V用に6Vの電球でも問題ないと聞き、ネットで汎用品の安いミニウインカーを購入する。取付部分の長さが足りないため取り付けできず、さらに中に入っていた電球は口金が違っていたため6V電球を取り付けできない。残念ながら、買い直し。失敗してもいいように安いのにしておいたとはいえ、無駄な出費だ。

GS純正タイプウインカー12V10Wの電球付きという、レンズ径8cmの汎用品を再度購入。6Vの電球は再利用できるかと思ったが、根本の腐食もあり、どうやら電球も買い直しが必要なようだ。

尾灯もブレーキランプは切れていたので、6V10W3Wの電球を、合わせて配線修復のための5色の電線ケーブルセット、マフラの排気漏れを防ぐためのアルミテープを購入。

チャンバーとサイレンサーのつなぎ目にアルミテープを2重に巻き隙間を防ぐ。
ハンドル左のグリップを外し、操作系の点検及び清掃。特に問題はなさそうだ。
リアのウインカーは左右ともマイナス端子を直接バッテリーに繋ぐと、ウインカースイッチで点灯だけはするが、フロントは連動せず。左前の電球の端子が傷んでいたので、6V8Wの電球を新たに発注。
これはいよいよメインハーネスを取り外して、配線図とにらめっこか。

2023.10
配線をつなぎ直したり、接点復活剤をつけたり、アースに不安があるため直接バッテリーのマイナス端子までケーブルを伸ばしたりと試行錯誤。だめになっていたウインカー球を交換するとついにウインカーが左右とも点滅。

フロントブレーキのスイッチは欠落しているため、とりあえずリアだけでもブレーキランプが点くようにしたい。ここも通電を確認し、接点を磨き復活剤でなんとかリアブレーキランプが点灯するようになった。針金とバネでフットブレーキと繋いであったので、長さを調節し、完成。これで公道で乗るにはなんとかなるので、自賠責保険60ヶ月に加入。

ステッカーを貼って、道路を走ってみるが、実際に走ると不具合が結構出てくる。キャブレターからの少量だがガソリン漏れ、サイレンサーのつなぎ目からけっこうなタール?がでいている上に、マフラーの付け根あたりもどす黒いオイルのようなものがついてくる。エンジンはあまり吹け上がらず、音だけがデカくなる。こいつはまだまだ時間がかかりそうだ。

フロントフォークからオイル漏れが酷いようだ。ダストシールもずいぶんひび割れている。部品がわからないので㈱スズキオートに電話して聞くと、とても丁寧に部品番号を教えていただけた。ネットで一式(オイルシール、ダストシール、リング、ガスケット銅ワッシャー 各2)注文。

サイレンサー周りのタール漏れがかなりあるので、少しでも燃やそうと試乗して回転数を上げてみる。なかなか吹け上がらない。一度、サイレンサーをとって試してみるかな。と思っていると、リアのブレーキランプスイッチがステーから外れていた。ボルトを締め直すと、ボルトが折れた。あちこち金属が劣化しているようだ。汎用品のブレーキランプスイッチを見つけ、オイルやフォークシールプッシャーと一緒に購入。一つ直せば二つ悪いところが出てくるようだ。

2023.11
いよいよフロントフォークのオーバーホールに取り掛かる。
まず、フロントを持ち上げるのに一苦労。
ジャッキアップしたあとにウマを噛ませたが、あまり安定しない。
なんとか、安定しそうな場所を探し、一応フロンを浮かすことができた。

事前に固着してそうなボルトには潤滑剤を吹き付けておいたおかげか、特に固着なしにフロントタイヤ、フェンダー、フロントフォークを車体から取り外すことができた。

フロントフォークの解体。
下側のシリンダーユニットをボトムケースに固定しているボルト(10mm六角)は、手では外れず、インパクトレンチを使う。
右側のみ下側の六角ソケットが届かず、仕方なく長い六角ソケットを車で買いに走る。

概ね解体できたが、オイルシールが固着しており、全く動かず。
たまたま家にあった昔の車のジャッキアップ用のハンドルが、片側がフックになっており、それをねじ込んでようやく外すことができた。
各パーツを洗浄し、一息。

時間も遅くなったので、日を改めて、フォークオイルを137cc注入、エア抜きのためしばらく放置した後、車体に取り付ける。
2日がかり、計5時間ほど要したが、なんとか完了。

フロントフォークをつけて試乗するが、今度はヘッドライトのLowが球切れ。ブレーキランプも切れているようだ。切れるのはなにか原因があると思うのだが、分からず。とりあえず、ヘッドライトとブレーキライトの球を購入。

バッテリーを充電し直して取り付けて様子を見ることにする。

2023,12
バッテリーを充電しようと充電器をつなげると充電不能となる。バッテリーがもうだめなようだ。電球等のつけ直しは、今のままだとまたすぐに切れてしまいそうなので、交換もしばらくおあずけだ。

2024.4
越冬後にエンジンを始動。エンジンのマフラーの付け根辺りから排気ガスが吹き出していて、音もかなりうるさい。チョークを戻すとエンジンは止まってしまった。このあとから、エンジンがかからなくなってしまった。バイクの下回りに濡れたあとがあるのだが、ガソリンかオイルかもよくわからない。キャブレターがオーバーフローしているのかも知れない?

ライト類の球切れは、バッテリーの不良で過電力を処理できなかったのではないかと思われる。まずは、バッテリー液の補充と充電を試みてみるか。

SUZUKI パーツカタログ TS125-7 8 10 をヤフオクで落札。これで、パーツの発注ができるようになる。本格的にレストアに向けて頑張ってみよう。

とりあえず、シート、タンク、エアクリーナー、マフラー、キャブレターを取り外す。

キャブレターの中を見てみるが、かなりきれいな状態だ。簡単に清掃を済ます。

マフラーを取り付ける際に、マフラーの付け根に縦に入った大きな亀裂を発見。ここから排ガスが漏れてかなり大きな音がしていたようだ。溶接できればいいのだが、設備も腕もないので、アルミテープで巻いて応急処置。

プラグを外してみると、かなり湿っていた。拭き取ってつけ直す。

一旦、元に戻してエンジンを掛けてみると一発始動。音もかなり改善されている。ただ、エンジンの回転数が跳ね上がり、慌ててエンジンを止める。何処かから2次エアが入っているのか? 何ヶ所か締め直してエンジンを掛け直すが、やはり回転が跳ね上がる。ちょっと危険。もう少し調べ直してみないといけない。

1週間おいて、エアクリーナーをつけ直してエンジンをかけようとするが、再びエンジンがかからなくなっている。プラグの火花も確認するが、しっかり飛んでいる。また、エンジンがかからなくなる原因がわからず、試行錯誤。もう一度、キャブを外してみるかな。

2024.6
重い腰を上げて、ハスラーのレストア。

シート、マフラー、エアクリーナーを外し、キャブレターの清掃。エンジンがかからない理由が考えられないので、まずはキャブの再清掃と前回、取り付ける際につけ間違っていないかの確認。組み直してエンジンを掛けてみると、エンジンは掛かったが、また全開まで吹け上がってしまった。

ネットで調べてみると、スロットルバルブのカッタウェイを逆に組み込むと、エンジンをかけるとレッドゾーンまで一気に吹け上がると書いてあった。よくあるミスらしい。つけ直してみると、エンジンの回転は落ち着いた。

だが、マフラーの割れにアルミテープを巻いていたが、圧で破れ大音量になってしまった。

とりあえず、エンジンがかかるようになったので、振り出しに戻ったということか。
マフラーとバッテリーをなんとかしなければ。

マフラー補修用にパテを購入。簡単に溶接もできないので、とりあえずパテでの修理にする。

Webikeでスズキ純正のフィルターホースやガスケットを購入。
パーツカタログはとても役に立つ。

2024.7
マフラーの割れは思った以上にひどく、付け根のところからL字形に5cmずつ割れている。マフラー用パテでなんとかなるかわからないが、とりあえずパテを塗る。

24時間ほど乾かしたあとアルミテープを巻き、その上に更にパテで埋める。見た目はひどいが、少しでも持ってくれれば御の字だ。

24時間放置し、パテを乾燥させ、エンジンをかけて熱を加えてパテを硬化させる。アルミテープを貼ったところに空気のたまりがあったらしく、何箇所か膨れてしまった。付け根のところは水分が残っていたのかぶくぶくと泡が出てきた。一応エンジン始動で、音は控えめ。ただ、パテ埋めしていないところから空気の漏れがあった。このチャンバーでは、いつまでもつか?

おっと、エンジンオイルの漏れも発見。しかも結構漏れている。どこから漏れているのか判断できず、次回に持ち越し。

次はとりあえず、ガスケットを挟み、エアフィルターのジョイント部を交換予定。

エアフィルターのジョイント部を新しいものに交換する。さすがにゴムが柔らかく取り付けやすい。切れていたウインカーランプも付け替え、電装系はパーツがないフロントブレーキを除いてオッケーだ。

ヤフオクで出ていたチャンバーに入札が入っていた。さすがに今のは持ちそうにないので、高かったが仕方なく無事落札。

ちょっと錆がひどかったが、穴や割れはないようだ。試しに付け替えて少し走ってみるが、音は静かになっていい感じだ。

マフラーに錆止め塗料を塗る。その上から耐熱スプレーで黒にしようと思っていたが、塗料はガンメタで案外このままでも大丈夫そうだ。

サイレンサーの中のグラスウールを巻き直す。

ついでにガソリンホースを透明のものに変え、フィルターを付ける。タンクの中にサビは見えていないが、古いタンクなので保険代わり。

マフラー取付ボルトのエンジン側が2個あるうち、1個がなめていて締めてもきちんと閉まらない。試走でボルトをなくしてしまった。代わりのボルトを付けてみたもののやはりゆるい。一度、ジェンマでエンジン側の雌ねじのヘリサートに失敗しているので慎重になる。

チェーンが伸びているのとリアスプロケットの刃先が尖っているのが気になる。安全に走るためには要交換か。

2024.8
ヘリサートでネジを切り直し、チェーン、フロントスプロケット、リアスプロケットを発注。

ここで思いがけない交換話が降って湧いてきた。このハスラーとグラストラッカーとの交換。125ccから250ccになるため保険がファーミリー特約から外れるためにつけ直さなければならないが、2ストで音は若干静かになったが、白煙が出るため車庫近辺での整備がやりにくかった。4ストのグラストラッカーに乗り換えることを決意。

2024.8
志半ばで、地元の掲示板に掲載されていた スズキ グラストラッカー 250cc 2004年モデル NJ4BA と交換という形で去っていった。

ようやく普通に乗れるよにはなっていたが、チェーン・スプロケット交換をしたあとの状況を確認しておきたかったとも思う。

2ストのため、車庫でのエンジン始動に音や白煙が気になり作業しづらかったことが一番の原因だが、少々残念だ。

エンジンをいじることはなかったが、フロントフォークのオーバーホールにメインハーネスのチェックなどとても勉強になった。なかなか楽しかった。