Flight Jacket Type G-1 Vintage

黒タグ U.S.NAVY 1969年

某フリマサイトで1969年製の米海軍のフライトジャケットG-1を入手。

G-1の黒タグ

タグを訳すと
飛行士の服でインターメディエイト(-10°〜10°の中くらいの寒さ)用のG-1ジャケット。
サイズは42(Lよりちょっと大きいくらい)
MIL(米軍の規格)でJ(ジャッケット)の7823D(G-1で5番目のタイプ)
会計年度は69年
作ったのは、MARTIN LANEという米軍に委託された会社
一番下はよくわからないが、最後の7800はサイズ42のことのようだ

ちなみに1970年初頭まで、この黒タグでそれ以降白いタグに変更になったようだ。

69年の7823DのG-1は、皮革はゴートスキンでファーは天然ムートンを使用。
1971年の7823E以降から皮革が牛革になり、ファーもアクリル(化繊)に変わったと聞いていたが、ムートンのファーは徐々に色が取れていき、茶色くなっていくようなので、このジャケットは、アクリルの可能性が大なのが少々残念。皮革はシボから見てゴートスキンでだと思われる。
あまり興味のない人には、全く関係ないことだと思うが……

元々アメリカのフリーマケットで買ったものをタンスで眠らせてしまっていたもののようだ。革が若干硬くなっているというコメントと、リブにかなり虫食いがあるのが画像で見られたが、革に大きなダメージはなさそうで、ファーがほとんど抜けていなかったので、安く購入させていただいた。

全体に皮革の硬化、カビが見受けられる

送っていただいたジャケットは、確かに革は硬くなっていた。さらに結構カビにもやれていた。コメントにカビのことは記載してなかったが、まあ安かったので仕方ない。
ポケットのボタンもなかなか外れないくらい、革は硬化している。ファスナーも上げ下げが困難なほど渋い。シリコンスプレーを使って、多少は上げ下げできるところまでにはなる。
これから楽しみながら、蘇らせていくしかないな。

まずは、洗浄。

豚毛のブラシで革全体から埃とカビを取るようにしっかりブラッシング。

浴槽に40°のお湯をため、おしゃれ着用の洗剤『アクロン』で手洗い。カビが気になったので、お湯の中で豚毛のブラシでブラッシング。なかなかカビの根まで取るのは難しいようなので、大胆にゴシゴシと洗浄。2、3度濯いだあと、もう一度アクロンで手洗いし、さらに濯ぎ。洗濯機で脱水したあと、平置きで乾燥させようとしたが、脱水で思ったより水分がとんでいるので、着て形を整えてみる。

浴槽でしっかり水洗い

ゴートスキンの革、ファーともにダメージ少なく、年代を考えるとなかなかの上物。なんせ半世紀以上経っているジャケットだ。リブの虫食いはひどいので、補修は無理だろうから付け替えるか、そのままヴィンテージ感を楽しむか。さすがにいい歳した親父が破れた服はカッコ悪いか。

とりあえず、カビ・汚れは取れたようだ。
あとは、乾かしながらホースオイルを入れて、形を整えていく作業だ。

なかなかいい感じに復活。バシバシだったジャケットだが、幸い革のダメージがほとんどなく、徐々に柔らかさを取り戻している。
保湿に気をつけながら、着て馴染ませるのが革を柔らかくするための一番の方法かな。

リブは袖、裾ともにかなりひどい状態だが、着ているとヴィンテージ感があってなかなかグッド。少し様子を見てみたが、やはり外で着るのはこの破れは恥ずかしいので専門店MASH Onlineでリブ袖、裾セットを購入。あとは、自前で直すかお直し屋に頼むか。

届いたリムは、気持ち明るめだ。袖リムを取ろうと試みるが、思った以上にしっかり取り付けられている。

古い右袖のリブを取り外しながら、どのようについているかを確かめるが、なかなか難しい。どう考えても、裏地を外さなければつきそうにないが、そんな大掛かりなことはできないため簡易的な取り付けにする。

糸と糸ワックスを買ってくるが、糸の色目が若干薄い。裏地とリブの取り付けに使い、表革との縫い付けは、もう一段階濃い色にする。
革の穴に沿って返縫いで付けていくが、なかなか穴があわない。指抜きくらいでは、埒があかずペンチで針を抜きながらの作業になる。

試行錯誤しながら右袖を数日かけて取り付ける。左袖は、集中してほぼ一日で取り付け、袖リブが新しくなった。

両袖を付け替えたG-1 あとは裾リブ

ボロボロになった裾リブをとりはずす。がっちりつけてあり、かなり時間がかかる。外してみるとアクションプリーツを戻すようにゴムバンドが革側に2本、裏地側に2本取り付けてあり、少々劣化しているようなので、これも付け替えることにする。

裾リブは何回かに分けて縫い付ける。元の縫い目に針を戻すのが難しい。真鍮製の指抜きだけでは硬くて抜けないことがあり、ペンチを使って針を引き抜くこともあった。特に革の重なっているところなどは、硬い上に元の針穴に針を通すことは至難の業でずいぶん苦労したが、なんとか縫い付け終わった。

縫い付け終わった袖と裾のリブ。袖リブは縫い付ける時に何度も裏返したり戻したりを繰り返したせいか、すでに毛玉ができている。オイルアップして完成。

購入からほぼ2ヶ月。ブラッシング、水洗いから始めてようやく外でも着ることができるようになった。革を柔らかくするためにもたくさん着ようと思う。

 <経費>
袖・裾リブ  4730円(税込)+送料550円
糸・糸ワックス等  1200円   でしめて 6480円

指が痛くなったり、目が疲れて、肩こりがひどくなったりはしたもののほぼ満足。まぁ細かいところを失敗したり、省略したところはあるが完成した時の充実感は十分。楽しい時間を過ごすことができた。

FLYING JACKET TAPE G-1 , 1969