フィルムカメラ

旅の原点

写真を撮りたくて、旅に出るようになりました。

写真家ロベール・ドアノー(Robert Doisneau)やジャン・フランソワジョンベル(Jean Francois Jonvelle)に憧れ、人生や生活を想起させるような一瞬を切り取った写真を撮りたい。

UN CERTAIN ROBERT DOISNEAU より
JONVELLE より

そのために旅に出るようになり、旅が好きになり、旅の形ができてきました。
旅の原点です。

フィルムカメラは、撮り直しがききません。
たくさんの中から、一番いいものを選ぶこともできません。
(何せ、お金がかかりますから)
あとになて、露出や構図を変えることもできません。
そこに写ってしまった不要物も取り除くことができません。
フィルムのストックは必要だし、カメラに入れるフィルムもカラーかモノクロか、天気がいいか室内かによって選ばなければなりません。
撮り終えたフィルムも現像するまで管理しておかなければなりません。
現像に失敗したら泣くに泣けません。

はっきりいって、今のデジカメから考えるととても不便です。

あえてメリットを挙げるとすれば、思い入れです。
一枚を撮るために使った時間や労力、そしてタイミング。
タイミングは運ですが、それを引き寄せるには、経験や感性が必要だと思います。

一瞬を逃さないために、カメラは、ストラップを右手首に巻き付け、グリップを握って常に撮れる態勢でした。
街の匂いや生活の様子を感じるために、コーヒーショップや公園のベンチでゆっくり時を過ごすこともありました。

撮り終えたフィルムには番号を打ち、ノートには撮った日や場所を記してあります。
帰国するまでどんな写真になっているかわかりません。

写真をみると、いろんな想いが蘇ってきます。
手ブレの写真にも、その時の状況が思い出されます。
最高の一枚に仕上がっていた時の喜びは計り知れません。
フィルムカメラでは、そんな想いを写し込んだ写真を撮ることができます。

リュクサンブール宮殿
構図を考えて撮ったが露出で失敗
パリにて
シャッターチャンスと思い慌てて
構図もタイミングもミスったうえに手ブレ

フィルムカメラで撮った写真
 Euro(スイス・イタリア・フランス) 1986

フィルムカメラの時代は、時間の流れがゆっくりでした。
撮った写真は、ほぼ個人の楽しみで、ネットで広がることもありませんから写真に写ることに関しても、人々は寛大でした。
レンズを向けると、笑って応えてくれる人も多くいました。

フィルムカメラで撮影
 BALI 1999

デジタルカメラが普及し始めても、何でもかんでも撮ってしまうのが嫌で、しばらくはフィルムカメラに拘っていましたが、そのうち時代の流れに飲み込まれてしまいました。

ちょっと楽しいパンケーキレンズ

今のカメラは素晴らしいです。普段はスマートフォンのカメラで十分です。

ちょっと気合を入れて撮りたい時には、一眼デジカメを持っていきます。
レンズを変えると、スマホのカメラでは撮れない写真が撮れますが、どうしても身軽さを引き換えにしなければなりません。


画像編集ソフトも素晴らしく、簡単になんでもできてしまいます。
今では、写真は撮ることではなく、撮ったあとの加工をどうするかで大きく変わってきます。

PhotoShopで、写真に写り込んだ不要物を簡単に取り除けてしまいます。

加工前
加工後

フィルムカメラのランニングコスト

フィルム(36枚 ISO100)を1本使って撮影したとすると、概算で
   フィルム代   550円
   現像代     500円
   CD焼き付け代 1000円 と考えると2050円ほどかかってしまいます。
これで36枚の写真が撮れます。
ただし、晴れの日は、ISO100でいいが、曇空や室内ではISO400を使うと考えると普段からフィルムを数種類は用意しておかなければなりません。

フィルムは、はっきりいってお金がかかります。

ただし、おもしろさもあります。

時間とお金に余裕を持って楽しんでみてください。

BALI 1999 NIKON FE2